Change The World


phase-1

「結果より努力する過程が大切」
そんな事は大嘘だと大人になって気付く
結果でしかものを見ない
手を抜いて結果が悪ければまだ納得はいく
誤魔化す事も出来る
けれども死ぬほど努力して結果が悪かったとき
そんな時はどうすればいいんだろう

過ぎ去った日々は決して戻ってこない
取り消す事も出来ない
自らの生きた今が明日には過去の思い出になる
そうして今を生きていく
だが思いも寄らない過去に突然襲われたときは
どうすればいいのだろうか
誰が答えを示してくれるのだろうか
誰が助けてくれるのだろうか






激しい閃光と爆音、そして爆風。記憶はそこで途切れていた。
気が付いた時は既に身体は動かす事ができない。
身体中が酷く痛み、何かの機械音もうるさくて仕方がない。
耳鳴りと機械音で耳も頭もおかしくなりそうだ。
ここから立ち去りたい。
そう思って手足を動かそうとするがどうにも動かない。

うるさい。

そう言いたいのに声が出ない。

酷い騒音の中、遠くで誰かが誰かを呼んでいる。
微かに目を開くが、霞む視界には灰色のアスファルトが広がるだけで何もない。
気のせいだ。そう思ったがどうやら気のせいではないようだ。
誰かが叫びながらこちらを見ている。
酷く慌てた様子だが、何を言っているかよく解らない。
再び途切れていく意識の中で思い出した。

―――・・・そうだ、こいつに、伝えなければいけない事があるんだ・・・

そう思い、目の前の男に握りしめたその手を伸ばそうとしたが、その手はうまく動いてくれない。
微かに指先に力が入る程度で何もできない。
必死の努力をあざ笑うかのように視界が更に霞んでいく。

目の前にいる誰かがまた悲痛な声をあげる。

―――伝えないと・・・

意識を保っていられない。
なんとか力を振り絞って声の主に向かって手を動かしていく。
少しずつだがその手が動く。薄れゆく意識の中必死に手を伸ばすと、力強くその手が掴まれた。

「・・・もういいぞ」

微かに聞こえたその声に安堵すると、まるでブラウン管のテレビを消したかのようにブツン、と何もかもが途切れた。